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田崎真也氏が語る十勝ワイン

2002年6月25日

95年世界ソムリエコンクール優勝

ソムリエ第1人者の田崎さんの十勝ワインに対するコメントです


 

平成14年6月25日の14時30分から約1時間の間、ワイン城3階のレストラン十勝、5種類の十勝ワインを世界の一人者、田崎真也さんの一つ一つにコメントをいただながら、じっくりと試飲を楽みました。

最初は発泡酒の十勝ワインブルームロゼです。20分ものお話をされても、表現する言葉は尽きることなく、氏の多彩さはワインや食に対する豊かな知識と経験、そして愛情から生まれていると感じさせられました。田崎さんと共にする1時間はあっという間に過ぎてしまいましたが、その後参会者はオードブルをつまみながら、田崎さんの表現豊かなコメントを今一度確かめるように、心行くまでワインを楽んでいました。

その最初のワイン「十勝ワインブルームロゼ」は、ビン内発酵の本格的な発泡酒です。発祥の地フランスのシャンペンの歴史から、田崎さんの説明が始まりました。シャンパーニュはもともと沢山のワインを混ぜ合わせる工夫をしたことから、ドムペリニョンの功績があり、単にガスの圧力の仕組みを見つけたのではないそうです。

 

それでは田崎さんのコメントをお伝えします。




@十勝ワイン「ブルームロゼ」

このロゼシャンペンは、ビン内発酵で生まれた泡なので、グラスの円周に細かな泡となって集まって並び消えていく。泡の性質の違いがわかります。

色調は濃くしっかりしています。トパーズ色、雉の目の色がかかっている。この色は熟成が進むとオレンジからやや玉葱の皮の茶系へ変わります。

香りは成熟具合で変化するものです。この香りは、果物では野イチゴの感じと、果実のジャムからドライフルーツのような変化も感じられます。

炭酸ガスは酸化を防ぐ働きもあり、還元的熟成の効果があます。しかし熟成が進むと、ワラから枯草のようになっていきます。ビン内発酵では、酵母菌由来の大豆のアミノ酸やイースト菌が加わり、焦げたような香りと、そしてトースト香が生まれます。イーストの香りは、醤油、味噌、糖と麹にある香りと同じ香りです。カラメルとイーストの香りは、パンの香りで感じる時があります。熟成によって生まれる香りとしては、森の湿った枯葉の香り、紅茶から鉄観音、きざみタバコの香りも期待されます。

味は、濃いロゼなので、赤い果物の感じがはっきりとしています。「清見」特有の爽やかさがあり、泡が良く溶け込んでいるので、味に滑らかさが生まれています。爽やかな酸味、きめ細かい泡はなめらかに刺激をしています。熟成によるちょっと醤油や鰹節の香りも感じられます。

料理の組み合わせでは、このロゼの味には、バルサミコ酢・黒酢に合わせたマグロの赤身、タルタルやカルパッチョに良く合うでしょう。

 

A セイオロサム白1998年

品種はバッカス、ケルナー、モリオマスカットを使用しています。ドイツの品種だが、ドイツは100年ほど前から交配種を作るのに熱心で、冷涼な気候にあうブドウを作っています。

マスカットの香りと言うのは、生食ブドウのようだが、醸造用の交配種でも出で来る香りです。

色はほんのり黄金食。

香りは、フルーツの香り、かりん、ゴールデンデリーシャスなど緑のマスカット香がする。ムスカートはジャ香鹿の名称であるムスカートを語源としている香りの一つで、香水で有名です。マスカットにはテルペンの香りが加わり出てくる。このワインには、白い花の香りがあるが、日本酒の吟醸香と同じ香りです。白い咲きたての花の香りは、華やかさをもたらしています。緑の石灰石のような爽やかさがあります。

味は、柔らかな酸味があり、第一印象は強すぎなく柔らかい。スムーズであり、まろやかであり、バランスがよい。後味には酸を感じます。ミネラルが残る。爽やかなミネラルであり、りんご酸の香味もあります。

料理には、刺身、イカ、ホタテ、白身の魚にフルーツドレッシングをかけるような、自然の甘味のあるものを使ったドレッシングが合う。魚の鮎では、苦味のある腹の部分より、白身だけの尻尾のほうに合うでしょう。

 

B 清見1997年

色は、オレンジがかったややルビー色で、熟成が進んでいる色です。

香りは、赤い木の実、スグリ、野イチゴ、シロップの香りがあります。自然の山にある木の香り、野イチゴのような野性味、スパイスでは黒胡椒のさわやかな感じ、黒胡椒の挽く前の香りがあります。少しだがユーカリーオイルやメントールも感じられます。スパイスとは種子の香りだが、この清見は、浅く種と茎の香りが出でいる。清見は黒く甘くはなりにくい品種と思います。

味では、スマートな上品な果実味があり、渋みは繊細で強くはありません。渋みが前面に出ると不快なのだが、これはビロードの食感があります。渋みの表現は、熟成で「麻」から「ビロード」そして「シルク」に変化します。

料理には、爽やかな酸味があるので、赤みのマグロ、馬肉、鹿の生肉に黒胡椒をのせたカルパッチョ、ドライフルーツなどが合うでしょう。

C セイオロサム赤1997年

色は、濃い赤だがオレンジ色がほんのわずかあります。

香りでは、強い感じの香りは生まれていません。ビン詰めで香りの強さがだんだん弱くなっていく場合がある。その香りには熟成の過程で強弱が生まれます。今は閉じている時期と感じるが、今後は徐々に熟成香が出るが、今は熟成初期の段階と言うところだろう。10円玉を手に握っていたときの感じというが、鉄のような感じがするのを閉じた感じといっています。金属的な香りとの表現は、閉じている香りに使う。または香りがクローズしていると言うが、ソムリエとしては、サービスの時にデカントして急いで酸化させて香りを出す工夫もいたします。

良く嗅ぐと、土のやや湿った感じの香り、腐葉土の香り、キノコの石突の香り、黒トリフの香り、動物的な香り、皮の香り、少しなめし革の香りがあります。羊の皮、皮の熟成の香りがあります。

味わいは、酸味の印象がやわらかくて渋みがある。ザラザラしていると感じる場合は、空気に触れさせると良い。日本人は時々グラスをぐるぐる廻して飲むが、フランスではそのようなことはあまりしないものです。

 

D ツバイゲルト1997年

ツバイゲルト種はオーストリーで好まれて飲まれています。

このワインの香りはまだ閉じていると思う。これもこのような時には一般的にはデカントすると良い。山で採れた小さな果物。種から来る青い茎の香りが、爽やかな印象を与えている。小さな野バラやそのドライフラワーの感じの香りがあります。

味は、果実のまろやかさがある。

料理は、アフタ−フレーバーが必要な羊肉やソテーのような少しふくらみのある料理に合うでしょう。甘渋いソースも良いですね。




<質疑>

@白い米飯に赤ワインが合わないのではないか。

.イタリアなどでは米の消費は皆さんが思っている以上に多いのです。付合わせとして沢山食べられている。油、特にオリーブオイルやスパイスを少しかけることでワインにぴったりとなります。ご飯も赤ワインと共においしくいただけるはずです。

 

A私は赤が好きだか、白は魚、赤は肉と言われているがどうなのか。

.イタリアなどは90%が赤ワインだが、魚介類を良く食べています。肉料理と言っても、血の香りのある料理なら赤ワインが良いと言う程度のことだろうから、あまりこだわることはないでしょう。

 

Bスーパーソムリエと言う商品があり、安いワインを高級ワインにすると言うがどうなのか。

.磁力で香味を変化させるらしいが、おそらく還元的に働き、閉じたワインとなるのだろう。しかしながら決して高級ワインになるのではありません。高級ワインとは全体が濃縮されたワインなのですから。