とは言うものの、冬の寒さとの戦いを語らずして、池田町のブドウ栽培は語れません。そこで取り組んだのが、寒冷地に適したブドウ栽培方法と独自品種の開発でした。
培土作業
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ブドウの木は、1000本に一本の割合で突然変異を起こし、たくましく実をつける「枝変わり」があるといいます。フランスで育成されたセイベル13053というブドウを基に、この「枝変わり」と選抜する技術で、5シーズンかけて枝梢の登熟が良く、果房も密着で豊産性の赤ワイン品種「清見」を誕生させました。
しかし「清見」を含めた一般的なブドウは冬期間ブドウの樹を土の中に埋めることで、寒さと乾燥からブドウを守る必要があります。
排土作業
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そして、培土した土は春には取り除かなくてはならず、他のブドウ栽培地域にはない、苦労が耐えません。ならば、培土しなくても寒さをしのぐことが出来る品種を開発すれば、池田町でのブドウ栽培に新しい道が開かれるというわけです。具体的には寒さに強い「山ブドウ」の特性を生かし、その山ブドウと醸造用品種の交配により、耐寒性が高く、かつワイン用として高品質の可能性が望めるブドウの開発を行っています。
清舞
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これまで交配した品種数は21,000種以上になります。その代表が「清舞」と「山幸」です。「清舞」が母親である清見種譲りの、うすめの色合いで強い酸味、そして軽快な味わいが特徴であるのに対し、「山幸」は色も濃く、渋味や味わいの深みは父親である山ブドウを超える可能性すら感じられます。いずれも、十勝ワインの将来を担う存在として大きな期待が寄せられています。
山幸
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「ワイン造りはブドウづくりから」といった考えのもと、町営圃場でのブドウ生産への技術指導はもちろんのこと、耐寒性交配品種などの新品種の開発を一貫して行っています。